(2022.9.16 公開)
 津軽森林鉄道
小田川支線大川目線
  (電子地形図(国土地理院)を加工して作成)  大川目線は小田川支線の終点である猫右衛門貯木場から大川目沢を遡上し、途中から現林道を外れて水ヶ沢右股落合まで敷設されていた延長3,191mの軌道です。

昭和14年に開設、昭和25年に廃止されています。途中から終点までは、現在の地図に道の記載がないので、遺構が残されていることが期待できます。

調査は2003年から数回に分けて行いました。なお、小田川ダムからアプローチすると、2014年時点では林道が崩れて車では通れません。そこで県道26号から行く方法がありますが、こちらも悪路となっていますので覚悟が必要です。

ちなみに起点の「猫右衛門」とは、近くの沢の名称である猫右衛門沢からとったものですが、「猫右衛門」とはどのような人物だったのか気になります。青森林友205号に記載されている記事によると、「津軽獅子舞の元祖」「鉱山の知識がある者」「山師の頭」などの説があるそうだニャ。


猫右衛門貯木場から大川目沢の上流を目指して進みました。

写真は2014年調査時のものです。2003年にも調査していますが、その時に比べ、土砂が崩れ悪路となっていました。

この状態なので、現林道が軌道跡かどうかは、よく分かりませんでした。


 
林道沿いに流れる大川目沢に下りてみました。
軌道跡は判然としませんでしたが、上流から流れてきたと思われる枕木を見つけました。


しばらく進むと、大川目線は林道から外れます。大川目線が進む東方向を林道から撮影しました。

2003年当時はビビって調査しませんでした。しかし、それから10年の月日が経ち、調査に慣れてきたので、2014年にはこの先を進みました。


道が無いところを進むので困難かと思いましたが、広く平坦な川原が続いていました。

どうやら林道付近にあった砂防ダムにより、土砂が堆積しているようでした。軌道跡はこの下にあるかもしれません。


川原には金具のついた木柱が流れ着いていました。

上流に設置されていた木橋から流れてきたと思われます。 


 
しばらく進みと、右岸に軌道跡らしき平場が現れてきました。 


 
軌道跡の平場が筋のように現れてきました。レールも落ちていてこの先の遺構が期待できます。


 
すると、すぐ先に小さな沢を渡る橋桁が残っており、橋桁にレールが寄りかかっていました。


軌道跡の平場がだんだん広くなり、進みやすくなりました。


 
しかし、すぐに平場がなくなり、大川目沢を渡らなければなりません。どこかに橋跡があるはずです。


 
両岸にそれぞれ橋脚跡がかろうじて残っていました。 


 
 
  大川目沢を渡ると堀割があり、軌道跡が明確となってきました。

また、小さな沢を越える橋桁、流されたレールなど、遺構がだんだん増えてきました。


再び大川目沢を渡ります。

写真左の中央部分に橋脚が立っているのがわかるでしょうか?


 
軌道跡から、右岸(進行方向)の橋脚跡を撮影しました。


 
同様に、大川目沢を渡ってから左岸(起点方向)を撮影しました。こちらにも橋脚のようなものが残されていました。


 
大川目沢を渡った先は藪のようになっていましたが、しばらく進むと、道床がはっきりと盛り上がっているのが分かりました。


 
一方、軌道跡を通らずそのまま大川目沢を進むと、流されてきたレールが見られました。 


  レールはまだまだありましたので、いくつか写真を掲載します。

軌道跡に敷設されたままのレールが残されていないのが残念です。
 
 
 
 


 
軌道跡に戻り、先に進むと再び大川目沢を渡ります。


 
起点側の橋脚跡です。橋脚が生えている木と同化しそうに見えます。なお、この後も「大川目沢を渡り、橋脚跡が残されている」というパターンが何度か続きますがご容赦ください。 


 
対岸にも橋脚跡が残っていました。  


 
沢を渡った先は、道床がはっきりと残されており進みやすくなっていました。しかし、またしても軌道跡が大川目沢を目がけて進んでいました。


対岸(右岸)方向を撮影しました。

ここは、これまでより高く、川幅も長かったので、より多くの遺構が残されてていると思ったのですが…。


 
撤去されたのか、流されたのか分かりませんが、ここには橋脚跡や橋桁跡は見つけられず、レールだけが残されていました。


 
先には空間があり、軌道跡はまだまだ続いています。  


そして、またしても大川目沢を渡ります。

ここは、これまでとはちょっと違った雰囲気がありました。


沢に近づいて撮影しました。いろいろなものが見えています。


 
ここには、これまでほとんど見られなかった橋桁が、架かってはいませんでしたが流されずに残っていました。 


 
流木が流されて溜まっているため、橋脚がちょっと見にくくなっています。   また、橋桁とレールが川原に埋もれていました。


 
そして、今回一番驚いたのが、この針金のような物体です。原型をとどめているレールに繋がっていたものがあったことから、正体はおそらく錆びて細くなったレールです。

サビの進行速度について、専門的なことは分からないのですが、完全に水中に浸かっていない水面近くでにあることで酸化が進むのでしょうか?


大川目沢を渡った先には、まだ軌道跡は続いています。

だんたん疲れてきました。


 
流木が溜まっている箇所がありました。
左写真は、流木に混ざってレールがひっかかっているのがわかります。

そして右写真には、タイヤが写っています。なぜ山奥の上流にタイヤが?と思いましたが、大川目沢の南側の上方に通っている県道26号から投棄されたものが流れ着いたと思われます。  


平場に出ました。水ヶ沢右股落合です。

この先も少し進みましたが、レールなどの遺構を見つけられませんでしたので、おそらくここが終点と思われます。


結局、あまり大した遺構は見つけられませんでした。でも、地図に道の記載が無い所を進むのは、何かワクワクして楽しいです。ちょっと怖いけど。

2014年の調査時に、「今回の調査では1回もコケなかったぜ!」と喜んで車に乗り込もうとしたとき、解けた靴のひもを自分で踏み、かなりの勢いでコケたことはよい思い出です…トホホ…。


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( 線名 地図 )