(2016.6.4公開) |
今別林道 津軽半島北部には多くの森林軌道が三厩湾を起点に山中へ敷設されており、その中で最も距離が長かったのが今別林道です。 また、今別林道は、途中に集落を通過したことから、住民の生活との関わりが大きかったようです。 ちなみに、左の地図はちょっと古いので、北海道新幹線の「奥津軽いまべつ駅」が旧駅名の「津軽今別駅」のままになっています。 |
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この地図はカシミール3D「山旅倶楽部」を使用して作成しました。 |
今別林道の起点は、今別川右岸の河口付近です。 かつては海岸に約30mの軌道の桟橋が設置されており、船による木材の搬出や、木炭や製材所の製品などの積み出しに使用されていたそうです。 ちなみに、河口から海方向を見て桟橋の跡を探したのですが、見つけられませんでした。…なので起点の写真はナシです |
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この地図はカシミール3D「山旅倶楽部」を使用して作成しました。 |
林道は、起点からすぐに今別川を左岸に渡って、 JR津軽線沿いに進みます。 軌道跡らしき空間がありました。 |
軌道跡は国道280号バイパスを越えて、大川平(おおかわだい)方面へ進みます。 |
軌道跡は水田の中を進みます。 右に見えているのは、JR津軽線の大川平駅です。 ここ大川平と、この先の二股の集落では、戦前から農閑期に木炭の生産が行われ、運搬に軌道を利用していたそうです。 その他、軌道は稲や薪木の運搬にも欠かせない存在であったようです。 |
JR津軽線に沿って、さらに進みます。 2016年に写真を撮影し直したので、開業したばかりの北海道新幹線が小さく見えています。 |
この地図はカシミール3D「山旅倶楽部」を使用して作成しました。 |
再び今別川を渡りますが、そこにはコンクリートの橋脚土台が残されていました。 |
おにぎりのような形の土台です。隣を通っているJR津軽線の車窓からでも確認可能です。なお、北海道新幹線はJR津軽線のさらに向こうを通っているので、新幹線からの確認はちょっと難しいと思われます。 |
ちなみにこちらは上記写真の13年前の2003年に撮影したものです。若干コンクリートの模様が違っていますが、同じものと思われます。このときは砂利で下部が多く隠れていました。 |
対岸にも橋脚らしきコンクリートが残されていました。また、コンクリートの柱のようなものも横たわっていましたが、これが橋脚だったのでしょうか?。 |
JR奥津軽いまべつ駅・津軽二股駅方面に進みます。 なお、両駅からこの橋跡までは約900mなので、今別に来た時の空き時間に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。 駅を出て右に進み、JR津軽線の踏切を渡り左に曲がって真っ直ぐ歩けばすぐ着きます。 |
JR奥津軽いまべつ駅・津軽二股駅に近づくにつれて、どこが軌道跡かわからなくなりました。この辺りを通って南方向へ進んでいたようです。 前方に見えるのは奥津軽いまべつ駅です。駅前付近(写真右方向)は、かつては苗畑だったそうです。 |
JR奥津軽いまべつ駅・津軽二股駅を過ぎた後、JR線の西側から駅方向を撮影しました。 軌道跡はこの辺りを進んでいたと思われますが、判然としません。 2003年の写真なので、ちょっと古いです。 |
この地図はカシミール3D「山旅倶楽部」を使用して作成しました。 |
軌道跡はJR津軽線をくぐり、西方向に進路を変え、今別川の支流の上股(うえまた)川沿いに進みます。 |
しばらく進み、上股川をわたる箇所では、林道からずれた方向に向いている橋台と、川の中にはコンクリートの固まりがありました。橋台は立派そうに見え、軌道跡の遺構なのかちょっと疑問です。 |
今別林道(現上股沢林道)の一部は「東北自然歩道」に指定されており、その見どころの1つに「獅子穴」があります。 「獅子穴」は、崖の高い所にあり、かもしか(獅子)が傷や病気を癒すために入った穴という言い伝えがあるそうです。 しかし、残念なことに、2015年に訪れた時には崩れていました。 ※ 写真にカーソルを合わせると、崩れる前の写真を表示します。 |
現林道は、急に高度を上げて進みます。 軌道跡は上股川沿いに残っていると予想し、左側の怪しい道を進んでみました。 |
しばらく進むと、立派な橋台と、川の中に橋脚の土台らしきものがありました。 橋台は、先ほどの橋と同じように立派過ぎる感じがしますが、軌道の遺構なのでしょうか? |
対岸にもコンクリートの固まりのようなものが見えます。 この先も進んでみましたが、途中に堰があったため引き返して現林道に戻りました。 |
高度を上げて進んだ現林道は、いったん高度を下げます。高度が下がった地点で、起点方向を撮影しました。 軌道跡も川沿いからここへ合流しているはずなので、右側の怪しい空間を下流方向へ進んでみました。 |
軌道跡らしき空間が現れました。いい感じです。 |
上股川を渡る箇所に、橋脚の土台?らしきものと、対岸には軌道跡と思われる堀割が見られました。 |
ちなみに、こちらは2003年に撮影したものです。 コンクリートに穴を開けてあり、そこに木の橋脚が刺さっていますが、軌道の橋にしては、何となく橋脚が細い感じがします。 |
堀割の先も見通しが良く、先に続いていそうなので進んでみました。 |
軌道跡は道床が盛り上がっており、はっきりとわかりました。 |
軌道跡は右岸を進んでいます。 | 少し進んで振り返ると、石垣が見えました。 |
こちらは2003年に撮影したものです。小さな沢を渡る箇所にも石垣が残っていました。 |
さて、先ほどのコンクリート土台のあった場所に戻りました。 上流の奥をよく見ると、何か四角い固まりが見えます。 |
近づいてみると、同じような穴の開いたコンクリートでした。 これも橋脚の土台と思い、少し上流も含め、周囲に軌道跡が無いか探したのですが見つけられませんでした。 軌道の遺構と思っていましたが、違うようです。何の根拠もありませんが、これは集材用の索道か何かの土台だったのではないでしょうか? 先ほどのコンクリートも、橋脚の土台では無く、上流から流れてきたものかもしれません。 |
現林道に戻り上流に進みます。この先には上股大滝があるため、川面から離れて少しずつ高度を上げます。 |
上股大滝に到着しました。滝は林道から少し下った所にあるので、ちょっと降りて写真を撮ってみました…が、うまく撮影できずイマイチでした。実際は、もうちょっと素晴らしい風景なので、他の方のHP等を検索してご覧ください。 昔は、上股渓流の散策のため、軌道に地域住民を乗せて走ったこともあるそうです。この上股大滝が散策のメインスポットだったかもしれません。 |
上股大滝から上流は、川に沿って進みやすい林道になっていました。 |
ナデノ沢林道との分岐点です。 傍らに軌条を利用した柱が残されていたほかは、特に遺構を見つけられませんでした。まだまだ先に進めそうでしたが、ここで引き返しました。 |
今別林道 槌菱沢支線 JR奥津軽いまべつ駅・津軽二股駅の南東約500m地点で今別林道から分岐します。 正面の道を直進します。 |
普通の農道です。水田の脇を美しいカーブを描きながら進みます。 |
道端にあったゲートの柱には、軌条が使用されていました。 |
林の中へ進み、槌菱沢を渡ります。沈下橋?洗い越し?のような感じです。 |
道が崩れかけた箇所には、路盤を補強していたような木柱がいくつか残されていました。 軌道の遺構なのかもしれません。 |
軌道跡を探し、現林道から離れ、川沿いをどんどん進んでみましたが、特に遺構を見つけられませんでした。 |
今別林道母沢支線 実は、母沢支線の調査は2003年に行った後は、きちんと再確認していないので、調査内容はちょっと自信がないです。 |
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この地図はカシミール3D「山旅倶楽部」を使用して作成しました。 |
写真は今別林道から分岐してすぐ撮影したものと思われます。 軌道跡ではありませんが、付近の農道の路盤を補強するために、軌条が活用されていました。 |
軌道は今別川の右岸を進み、水田の脇を通っていたようです。 そして、かつては今別川右岸に母沢集落があり、そこに機関車の車庫があったそうです。 |
続いて、今別川の支流である品川沢沿いに進みます。 品川沢との合流地点は笹藪となっていましたが、頑張って進んでみると小さな木橋跡を見つけました。 |
地図で見ると、軌道跡は県道14号のすぐ近くなのですが、探すのに結構苦労しました。 |
笹藪の中の、木の生えていない部分が軌道跡と思われます。 |
笹藪を抜け、県道14号を横切り、JR津軽線をくぐって南西方向へ進みます。 |
この先は、水田の中を進んでいきますが、特に遺構を見つけることができませんでした。 |
今別林道母沢支線母沢線 品川沢との合流点を県道沿いに南東へ進みます。 県道脇に怪しい空間がありましたが、軌道跡かどうかは不明です。 |
県道にかかっている橋から下をのぞいてみると、古い橋台跡がありました。 軌道の遺構かどうかわかりませんが、これ以外には特に何も見つけられませんでした。 |
奥津軽いまべつ駅がの開業に向けて、本レポートの作成を急いだのですが、結局間に合いませんでした…トホホ。 今別の森林軌道跡が観光資源の一助となるかと思いましたが、他の地区と比べちょっと遺構が少なく、また、駅から歩いて軌道跡巡りをするのはちょっと困難です(レンタカーでの軌道跡巡りは、林道で車体を痛めることになるのでお勧めできません)。 まっ、森林軌道跡だけが目的で奥津軽いまべつ駅を利用する人はおそらくいないと思いますので、まずは近くの観光資源(いまべつの楽しみ方:今別町HP)を楽しみ、時間があったら駅近くの橋脚跡を見て、思いを馳せていただき、そして津軽半島の他地域にも足を運んでいただければと思います。 |