(2006.10.19公開) (2006.11.23追加) |
津軽森林鉄道 新城支線 新城支線は津軽森林鉄道の起点から一番近くにある支線です。近くにあるということで、調査はいつでもできると思い、津軽半島東部にある支線の中でも一番最後に行いました。 津軽半島東部の支線の調査では、あまり遺構を見つけることができなかったので、あまり期待していなかったのですが、他の支線に比べると遺構が残っておりびっくりしました。 |
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第256号) |
新城支線の開設時期ですが、資料により異なります。開設時期は昭和9年、大正2年と2通りありますが、廃止時期はどちらも昭和44年となっています。国土地理院の地図では昭和17年〜昭和27年発行のものには記載がありますが、その前後に発行されたものには記載はありません。 …一体いつからいつまであったのでしょうか?あまり細かいことは考えず、とりあえず存在したということで割り切りました。 なお、例によって調査時期はバラバラですのでご了承下さい。 |
新城支線は、当初は津軽森林鉄道の旧線から分岐していました。 ここが分岐地点で、左に進む農道(草むら部分?)が軌道跡と思われます。 |
国道280号バイパスを越え、すぐに新線跡と交差します。 左上の農道は新線から分岐した軌道跡と思われます。 |
その先は岡町方向へ、水田の中を進んでいきます。 なんのへんてつもない田園風景です。 |
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橋脚跡から起点方面を望むと、このようなスペースがあり、軌道跡と思われます。 |
集落を離れ、消防学校の裏側を通り、山に向かって水田の中を進みます。 夕方で逆行のため、起点方面を撮影しました。 この先も車で進んだのですが、途中で出会った農家によると「この先は車で行けない」とのことでしたので引き返しました。 |
近くを通る県道(津軽あすなろライン)から回り込んで、軌道跡を調査しました。 軌道跡はりんご畑の近くを通り、再び水田沿いに進んでいきます。 |
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平18総使、第256号) |
近くを通る津軽あすなろラインは、軌道跡から少しずつ高度をとって進んでいきます。 写真は津軽あすなろラインから軌道跡を撮影しました。 |
軌道跡は農道として利用されていましたが、進むにつれてだんだん先行きが怪しくなってきました。 |
とうとう農道が無くなり、笹藪となってしまいました。 真ん中を進むスペースが軌道跡と思われます。 ちょっと進むのは大変そうなので、再び津軽あすなろラインで先に進むこととしました。 |
津軽あすなろラインを進み、脇道を発見し、そこを進むと、軌道跡らしき道を発見しました。 写真は午前中に撮った写真ですが、初めて訪れたのは前日(11月30日)の17時近くで、すでに暗くなっていました。 すると、暗い林の中で、何かを燃やしているおじさんがいるではありませんか! もしかしたら軌道のことを知っているかもしれないから声をかけようか、と思ったのですがちょっとビビリました。 |
勇気を出しておじさんに声を掛けてみました。普通のおじさんでホッとしました。 「昔、この辺に切った木を運ぶための線路があったことをご存じですか?」と聞いたところ(森林鉄道や軌道という言葉を使うとわからない場合があるので、地元の人に聞く時はあえて簡単な聞き方をしています)、「ああ、軌道のことね。」とあっさり答えてくれました。 「軌道」という言葉を使うなんて、このおじさんデキル!と思い、話を聞くと、軌道はまさしくこの写真の箇所を通っていたこと、この先に橋があることなどを教えてくれました。 |
おじさんに話を聞いた次の日、軌道跡を進んで橋を見つけました。 ちなみにこの日は2002年12月1日で、東北新幹線盛岡〜八戸間開通の日でした。 そんな日に私は新幹線には目もくれず、黙々と軌道の遺構を調査していました。 |
うーん、なかなかいい感じの木橋です。 橋脚や橋桁は当時のものをそのまま使用していると思います。 この橋は軌道撤去後も利用されていたようで、橋桁の上は長さが不揃いな木が並んでいます。 きちんと確認はしていませんが全てが枕木ではないと思います。 |
橋を渡って振り返って撮影しました。 写真ではわかりにくいですが、橋の手前には、車が入ってこれないようにするためか?石や土で山が作ってありました。 |
橋の先は、すぐに軌道跡は分からなくなっていました。 いずれにしろこの先は堰になっていて進めなくなるので、再び津軽あすなろラインに戻って進むことにしました。 |
再び津軽あすなろラインから脇道を探し、軌道跡を目指しました。 写真は1つ目の堰の方向を撮影しました。起点方向に戻る形になりますが、地図を見るとこの先で川を渡っていたはずです… どこが軌道跡かな? |
地図を信じて、笹藪の中を進んでいきました。 まだ調査初年だったので、このような笹藪を進むのはとても不安でした。 |
2〜3分藪こぎして進むと、天田内川にぶつかりました。 すると目の前に3本の木が…? |
この木には金具のようなものも付いており、どうやら橋脚と思われます。 小さな遺構ですが、人の手が入った証を発見できて感動しました。 3つ前の写真を見ると、「行くのは無理だ」「この先には何もなさそうだ」と思ってしまいますが、今回の発見で、調査方法や調査の考え方が少し分かったような気がしました。 |
少し離れた場所には、橋桁らしいものが流されていました。 いずれは、橋脚も腐って流され、ここに軌道があった証拠が無くなっていくと考えると、ちょっと残念です。 |
再び津軽あすなろラインに戻り、先に進みました。 津軽あすなろラインは、天田内川からどんどん高度を上げて進んでいきますので、道路からは川は見えなくなります。 ようやく脇道を探し、川の方に降りていくことができました。 川の近くは広場のようになっており、起点方向を撮影しました。軌道跡がどこなのか判然としませんでした。 |
一方、進行方向はこのようになっており、怪しい空間を発見しました。ここは軌道跡なのでしょうか? ちょっと進んでみました。 |
すると、桟道がありました。 この先は遺構は見つからないと期待していなかったので、びっくりでした。 |
別の時期に撮影したものです。 ここもいい感じの状態で残っていました。感動です。 |
桁には金具が残っていました。 桁や枕木にはコケが生えており、廃止されてからの年月を感じさせます。 |
反対側の川岸から撮影しました。 なお、軌道跡はこの先も続いていそうでしたが、例によって身の危険を感じそうなので、調査はここで諦めました。 |
この先を進んで調査するのは怖いですが、終点からの調査はできるかもしれません。昔の地図を見ると、終点近くに神社の記号が記載されており、もしこの記載が本当で、今も神社が管理されているのであれば、どこからか行けるかと思います。津軽あすなろラインからその地点は約30m位高度差がありますが、川へ降りていく山道があれば、調査は可能かも…。 津軽半島にあった森林鉄道や軌道のほとんどが、現在は林道や農道として利用されています。地図で見ると幅員1.5m未満の道路として記載されているのがほとんどです。 |
(追加調査) やっぱりレポートを書いていると気になります。前回調査から3年後の2006年10月、再調査に行って来ました。 |
前回の調査地点から、さらに津軽あすなろラインを進みます。 どんどん高度を上げていき、天田内川ははるか下方に離れてしまいました。 写真は天田内川を見下ろして撮影しましたが…川の音しか聞こえません。 |
津軽あすなろラインの脇に、川へと降りていく道を発見しました。 早速、川の方へ進んでみました。 |
川の近くはややスペースがありました。 軌道の終点近くには「山神貯木場」があったようなので、この辺りでしょうか? |
天田内川と高ウド沢の合流地点です。 昔の地図ではこの辺りに神社マークがあったのですが…。 |
合流地点のやや高くなっているあたりに、小さなほこら?をあっさり発見できました。 これが貯木場の名前の由来の「山神様」でしょうか? 管理されているらしく、まだしっかりとしていました。近くまで行き、拝んでから調査を再開しました。 |
さて、軌道跡調査ですが、川を下って進みます。 危ない足取りで対岸に渡っていると、リス君が倒木を使って素早く渡っていました。 |
軌道跡は判然としませんでしたが、なぜか妙に歩きやすいような感じでした。 この先に何かあるのかな? |
…と思ったら、地図にはない堰があり、数メートルの落差のため進むことができなくなりました。 どうやらこの堰のため、地形が変わってしまっているようで、軌道跡は判然としませんでした。トホホ…。 |
写真ではわかりにくいのですが、堰の下を見ると、橋桁?に使われていた木材のようなもの?が見られましたが、関係ないかな? |
結局決定的な遺構を見つけられませんでした。しかし、個人的には橋桁跡らしきものは気になります。 もしかしたら、地図には出てこない桟道や橋があるのかも…と思ってしまいます。 でも上流からの調査は無理なので、桟道があった箇所から調査するしかないのかな…トへー。 |