(2011.1.4公開)
(2016.2.21一部修正)

   下北半島
 牛滝付近の林道


下北半島西海岸に気になる軌道があります。佐井村に存在した「大荒川林道」。

この軌道へのアプローチは、海岸沿いには道がなく、山からの点線の徒歩道があるだけです。

しかし、今までいろいろな所を探索している経験上、点線の徒歩道はあまりあてになりません。
また、近くまで林道が通っているようですが、軌道跡までは林道から数十メートル下る必要があるので危険です。

釣りのガイドブックによると、牛滝港から海岸沿いを数時間歩けば行けるとのことですが、岩場など危険だからやめるか?でも、行くなら若いうちに…?と悩みつつ、日帰りでの探索を計画しました。

そして、旅行の許可を得るために妻に相談したところ、「1泊してくれば?」と寛大なお言葉をいただきましたので、お言葉に甘えて、1泊の計画に変更して2007年10月に出かけました。
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用した。(承認番号 平22業使、第474号)


1 大荒川林道までの道のり
   (佐井海岸林道)

朝6時半に青森を出発。天気予報では雨でしたが、奇跡的に曇でした。

JRを利用し下北駅へ、そこからはレンタカーを借りて牛滝漁港へ向かい、11時前に到着しました。

港で仕事をしている人に駐車の許可を得て、ここからは海岸沿いを徒歩で大荒川へ向かいます。


しばらく海岸を歩くと、いきなり石垣があり、軌道跡か?と思ってしまいますが、これはかつての遊歩道「佐井海岸林道」遺構です。

※ 釣りの本には「遊歩道跡」との記載がありましたが、実際は佐井営林署が設置した「佐井海岸林道」の跡です。詳しくは、「山さ行がねが」管理人のヨッキれん氏が「廃道をゆく4」に記事を掲載していますので、興味ある方は購入してご覧ください。
(2016.2.21修正)


石垣の上はこのようにコンクリートで舗装されており、歩きやすくなっています。


廃歩道には余り興味がないのですが、とりあえず帰りがけにいくつか写真を撮りました。

廃歩道は小荒川河口くらいまでは所々に見られました。


小荒川を過ぎ、更に海岸沿いを進みますが、岩盤になっている所や岩がゴツゴツした所などを進みます。


そして、予想外に岩をよじ登るような箇所もあり、ちょっと大変でした。

写真中央上部に、一応細いロープが設置されていましたが、頼りなかったです。


橋が架かっている箇所がありました。釣りのガイドブックにも記載があり、これなら余裕、とルンルン気分で渡りました。


海岸はゴツゴツした岩場の箇所が多かったのですが、写真のように玉砂利のような所もありました。

足がめり込んで歩きにくかったです。


岩あり、崖あり、砂利ありと状況がコロコロ変わり、何カ所かは大変な箇所がありましたが、頑張って進みました。

すると、再び橋が現れました。

ここは釣りのガイドブックに記載されておらず、予想外で…。


…っていうか、1本橋!?
元々2本だった跡があるのに、なぜ…?

巾は道路の白線よりやや広いくらいで、普通に歩いては渡れません。長さは7〜8m位で、高さは水面まで3〜4m位かと記憶しています

かなりビビっており、渡るかどうか10分くらいかなり悩みましたが、せっかく来たので渡ることを決意しました。

ドラえもんがいれば「オモイコミン」を出してもらうのだが…。


落ちた時にどこから上がるか、波はないか、などを確認し、カニカニ歩きで何とか無事に渡りました。

波は無かったものの、深緑色の海に吸い込まれそうで怖かったです。

ちなみに帰りは悩むことなくサッサと渡りました。


再び岩場が現れ、岩にへばりつくように進みます。

ゴールが見えず、ちょっと疲れてきました。


牛滝港出発から1時間40分、しばらく見かけなかった石垣が見えてきました。

初めは遊歩道の跡かと思いましたが、どうやらこれが軌道跡で、この辺りが起点だったと思われます。


2 大荒川林道

石垣の上を歩いていくと、入り江になっていました。

大荒川の河口です。


先に進むと、石垣が残っていました。

石垣と岩の間には、何が詰まっていたのでしょうか?。


横から見ると、石垣がきれいに並んでいるのが分かります。

いい感じです。


ちょっと戻って海方向を撮影しました。

軌道がここを通っていたとは、なかなかステキです。

軌道撤去後に歩道にでもしたのでしょうか、石垣の上は簡易に舗装されていたような跡があります。


さて、本当にここに軌道が敷設されていたのでしょうか。

「佐井経営区第七次経営案説明書」にこの写真と似たアングルからの写真があり、確かに軌道はここに敷設されていました。


その写真を参考に作成したショボい図です。

道床には少し大きめの砂利(海岸に落ちているようなもの?)が敷いてあるほか、右手に小さな小屋のようなものが見えました。また、左奥には木造の構築物があります。

これらは木材運搬に関係ある物なのでしょうか?

軌道は海の方へ進み、右方向へ曲がっていたようです。


カーブの先です。7枚前と同じ写真です。

この辺りが起点かと思いますが…?

実は帰宅後に軌道がカーブしていたことに気が付いたので、現地では細かく調査しませんでした。

木材はこちらまで運んでから船に積み込んだのかもしれません。


再び大荒川入り江に戻り、軌道跡を横から見た写真です。

うーん、かっこいい!


大荒川上流方向を撮影しました。

ここで昼飯の菓子パン&缶コーヒーをいただき、ちょっと休憩です。

昔の写真を見ると、この河口には切り出された木が高く積まれていました。

軌道は写真左側を進んでいきます。


軌道跡は草が繁茂していたようですが、枯れていたので楽に進むことが出来ました。


途中で、小さな木橋の跡を発見しました。

かろうじで桁が残っていました。


川岸には石垣が見られました。この付近では、軌道は川から離れた箇所を通っていたので、軌道の遺構とは違うようです。

河口付近は土場になっていたので、おそらくその遺構と思われます。

写真右は石垣の一部がくぼんでおり、何かの跡のようです。


一方、川とは反対側(軌道跡の左側)にも石垣が見られました。

こちらは土台のようなものも見られたので、作業事務所の跡と思われます。


草むらの軌道跡を抜けると、川沿いに開けたスペースが現れました。


すると、小さな沢を渡る箇所に木橋の跡が…。

壊れていて残念です。


石垣や橋桁が残っており、興奮気味で撮影しましたが、苔でスベってズッコケそうになりました。


まだまだ先には進めそうですが、時間もないので引き返す事にしました。

この先ケガでもした場合、1人で帰るのは大変そうですし…(牛滝港まで歩いて約2時間かかるし、ケガしたまま1本橋を渡る勇気はないので…)。

でも、やっぱり行っておけばよかったと後悔しています。

軌道はこの先で川を渡っていたり、縫道石沢支線が分岐しているので、何か遺構があったかもしれません。


結局、林道の入口付近しか探索出来ませんでした。

大まかな位置関係はこのとおりです。
出典:「電子国土」 URL http://cyberjapan.jp/


大荒川を後にして、小荒川へ向かう途中、岩に腰掛けて撮影しました。

あ〜、オレってちっぽけ。

いつもは津軽半島から下北半島を見ていましたが、今回は反対の風景でとても不思議な感じでした。


3 小荒川林道

小荒川の河口です。遠くに石垣が見えます。


近づいてみました。撮影した時点では、この遺構がどうなっていたのか、あまりよく分かりませんでした。


石垣の上に登り、海方向を撮影しました。

あまり記憶がないのですが、小荒川右岸にも軌道跡(のようなもの?)があったかと思います。


ちなみに上流方向は草むらになっていました。

なにも無さそうと思い、これより先には進みませんでした。


石垣の対岸をみると、そこにも石垣が見られました。

どうやら、これらは橋台で、橋が架かっていたかと思われます。

しかし橋桁などの遺構は見つけることが出来ませんでした。


対岸の先には軌道跡のようなものが続いており、海岸から高さ4〜5m位の高さで、崖沿いに平らな箇所が確認できました。

簡単に地図に表しました。

橋台があったので、直進の点線は無しかもしれません。
出典:「電子国土」 URL http://cyberjapan.jp/


海岸から軌道跡らしき箇所を見上げて撮影しました。

平らな箇所は結構続いており、一部には杭が数カ所に打たれていました。

軌道の起点が高い位置にあるのは、何か意味があるのでしょうか?
例えば、木材を船に積み込みやすくするためとか?(としても、この場所は海から離れすぎているから違うかな?)桟道でもあったのかな?


帰りに海を望むと、遠くの岩場に釣り人が…。
ボートでも使って上陸したのでしょうか?

釣りをやる人の根性はすごい!山菜採りもそうですが…。

軌道調査も似たようなものかな?


4 牛瀧川林道

海岸から戻り、牛滝川林道の調査をしましたが、特に何も見つけられませんでした。

近くにいたおじさんにも話を聞いたのですが、軌道については知らないとのこと。


結局、道路から外れた部分に、軌条を利用した柵を見つけただけで、調査を終了しました。


大荒川林道、小荒川林道については、苦労してたどり着いたのですが、結局、起点付近しか調査できませんでした。もう2度と行かないかもしれないので後悔していますが、少しでも調査できただけで良かったと思っています。

また、調査中は一切雨は降らなかったのですが、数時間すると雨が降ってきてギリギリセーフでした。天気予報では雨だったので、運が良かったと思います。

帰りには、森林鉄道が登場する映画「飢餓海峡」でおなじみの湯野川温泉で疲れを癒し、明日に備えました。

ちなみに晩飯は「すき家」で、宿泊は車中泊で節約に努めました…トホホ…。


( 線名 地図 )