(2006.8.6公開)
片刈石沢林道 その2

前回のレポートを書いているうちに気になってしまい、懲りずにまたしてもやってきました。

今回は、前回の調査で確認できなかった@スイッチバックの先はどうなっているのか、A奥地のスイッチバックはどこにあるのか、を調査しました。

なお、今回の調査は、初のチャリでの調査です。

子供の世話をするために、お昼前には家に帰らなければならないので、朝4時半に出発しました。
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)及び数値地図50mメッシュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平17総使、第726号)


6時過ぎに林道入口に着きました。

車を置き、ここから先は私の通勤用ママチャリでの調査です。

この日の天気予報は晴れとのことでしたが、なぜか小雨が降っていました。また、風が強く、よいコンディションではありませんでした。

さらに車では簡単に登れた坂は、チャリに乗ったまま進むのは無理で、押して歩くことになり、疲れました。

1 スイッチバック上部から先の軌道跡

まず、スイッチバックの先はどうなっているかの調査ですが、スイッチバックを登って進むのは危険そうなので、前回調査した時に調べなかった旧道らしき跡(地図の@)から戻って調査することにしました。

写真は旧道との分岐点で、振り返って撮影しました。写真左側が軌道跡と思われます。

チャリで進もうと思ったのですが、ちょっと無理そうなので、ここからは歩いて進みました。

スイッチバックを目指して川沿いを下流に向かって進みます。

枯れ木や枯れ草が行く手を阻んでいましたが、道のような跡が残っていましたので、それを頼りに進みました。
しばらくすると、川から離れて斜面を登っていく道の跡がありました。軌道跡にしては不自然であったので、そのまま川沿いに進んでみると案内板がありました。

どうやらこの付近は縄文沼を経由する登山道(現在は廃道)との分岐点のようです。看板には「小泊○?登山口」と書いてあり、矢印はなぜか川の方を向いていました。

軌道跡は川沿いに進みます。今までの調査の経験から、この先には何かあると感じ、足下を掘ってみると、埋まっている枕木を発見しました。犬釘も付いたまま残っていました(黄色の○)。

さらに先に進むと、枕木がむき出しになっていました。

さっきは掘り起こして探したのに…その必要はありませんでした。

この先にはもっと形のはっきりしている枕木も残っていました。

軌道跡は川沿いのハイキングコースのように見えます。

かつては登山道とともに、みちのく松蔭道へ続く道として利用されていたと思われます。

斜面にはカタクリのほか、白や黄色の山草が咲いており、とてもきれいでした。

今まで色々な場所の調査を行ってきました。きれいな景色や植物があっても、軌道跡に関係ないものは撮影しなかったのですが、ちょっともったいない気がしてきたので、なるべく撮影するようにしました。

しばらくすると、軌道跡が急に広くなってきました。

この先に何かあると思い期待して進みましたが…

そこには治山ダムが設けてあり、軌道跡はとぎれてしまいました。

写真ではわかりにくいですが、「災害から国土を守る治山ダム青森営林局市浦営林署」と書いてあります。

他の林道でも同じような看板を見ることができます。

このダムを造るための資材をどのように運んだのか気になります。今まで通ってきた軌道跡を車が通ることは、道幅から考えると不可能と思います。

このダムがいつ完成したかはわかりませんが、もしかして廃止後の軌道を利用して資材を運んだとか…考え過ぎかな?

ダムの先は斜面が一部崩れてしまったのか、軌道跡は判然としませんでした。

斜面にはカタクリ群落があり、踏まないように気をつけて進みました。

斜面を登ってみると、縄文沼の南側に出ました。

写真ではわかりにくいですが、遠くに私の車が小さく見えました。

低い灌木の中を進むと、ようやくスイッチバックの3段目に到着しました。

崖が崩れていましたが、枕木やコンクリの塊などがあり、軌道跡であることがわかります。

振り返って撮影しました。

軌道跡は、先ほどのカタクリ群落を経てダムに続くのですが、やはり斜面が崩れており、判然としませんでした。

2 もう一つのスイッチバック

次は前回調査した地点より先(地図のA)に行き、もう一つあるというスイッチバックを探しました。

前回調査した地点のやや先には、広くなっている箇所がありました。土場の跡だったのでしょうか。

林道の傍らには枕木?の山がいくつかの箇所に分かれて残っていました。 そして、橋桁の残骸?も残っており、この先も何かあるかと期待できます。

林道は写真左奥の橋で川を渡って進んでいきます。

先ほどの橋桁?は、ここの橋のものだったのでしょうか?

橋を越えるとすぐに、みちのく松蔭道との分岐点でした。

看板が充実しており、びっくりしました。中にはクマに注意の看板も…。

みちのく松蔭道(歩道)は峠を越えて、津軽半島東部の算用師林道に続いています。

みちのく松蔭道には何ら興味がなかったので、横目で見ながら通過しようと思いました。

しかし、歩道にしては、ずいぶん立派な石垣だなー??

…と不思議に思いながら先を見ると、なんと木橋がありました。


遠くから全体を撮影しました。

どうやら軌道跡の一部は、みちのく松蔭道として利用されているようです。

林道からやや高い位置が軌道跡となっていました。しかし、4枚前の写真を過ぎるとすぐにこの場所にでており、高度をどのようにとったかはわかりませんでした。


引き返してみちのく松蔭道を進むと、傍らに犬釘付きの枕木が積み重なっていました。


いい感じの木橋です。カーブしながらの橋は、素人目でみると設置が難しそうで強度も直線より劣りそうな感じがしますが、土木工学的にはどうなのでしょうか?

ちなみに、みちのく松蔭道はこの木橋を渡らず、写真右方向に沢沿いに進みます。

久しぶりの木橋出現に興奮状態だったのですが、もっと驚くべき事が…


…看板がありました…ガクッ。

人に知られていないものを発見するのが軌道跡調査の醍醐味なのでズッコケました。みちのく松蔭道をよく使う人は当然知っていたのでしょう。ちょっと拍子抜けしました。

説明によると、ここの軌道は昭和42年ころまで使われていたとのことです。

しかし、このように説明があるというのは良いことだと思います。観光客が立ち寄りそうな海岸林道の七ッ滝にも看板があっても良いと思います。


写真も撮り終わって戻ろうとした時、向こうに見える、あれは?
   
なんと、向こうにもう一つ橋があるのでは?


やはりもう一つ木橋がありました。こんな近くにもう一つ橋があるとは、ここの軌道はどのような配置だったのでしょうか。


2つ目の木橋は直線でした。

この軌道跡はどこに続いているのでしょうか?

2つ目の橋の橋脚です。

橋台は石で組まれていました。橋脚はまだしっかりとしているようです。

みちのく松蔭道を先に進んでみると、なんとそこには…


2つ目の橋を過ぎてすぐに、レールが埋まっていました。

みちのく松蔭道はこの先すぐに沢を渡って進んでいきますが、軌道跡はここで終わりのようです。

そして、写真の左側に見えるあれは?


これは転轍機(ダルマ式?)では!!

いままでレールは発見していましたが、転轍機の発見は初めてで大興奮でした。

朝7時、「なにぃー」「すげぇー」と私の声が山奥に響いている。端からみたらさぞかしアホだろう。

一応切り替わるか試してみましたが、ポイント部分が埋まっており動きませんでした。当たり前ですが…。


文章や写真だけでは軌道跡がわかりにくいので、軌道跡の予想図を作りました。ショボくてわかりにくいかもしれませんが勘弁してください。

1つ目の木橋の軌道跡(本線と呼ぶことにします)は傾り石沢沿いに先に進んでいます。

そして、2つ目の木橋の軌道跡は、本線から分岐し、橋の手前でスイッチバックで方向転換して進んでいたようです(支線と呼ぶことにします)。

※注 この軌道跡予想図はその3で修正しています。

2つ目の木橋からの写真です。左に1つ目の木橋が見えています。

林道に戻り、支線の先がどうなっているかを確認します。


林道から木橋の先を撮影しました。

上部の平な部分が支線の軌道跡で、林道との中間の高さにあるのが本線の軌道跡です。

斜めに登っている道?がありましたので、支線跡に登ってみました。


支線跡はかなりしっかりとしていました。

しかし、先に進んでみましたが、行き止まりになっていました。
この支線はどのようになっていたのでしょうか。


振り返って木橋方向を撮影しました。

まっすぐ進むと木橋です。写真ではわかりにくいですが、やや左側に進む跡が見られます。


その左側に進む跡は、3枚前の写真の斜めに登る道から続いていました。

林業用トラクタの作業用の道跡でしょうか?急な坂道となっていました。

予想ですが、軌道跡はこの坂道付近でスイッチバックを描き高度を上げていったのではないでしょうか。現地では橋を発見しただけで満足してしまい、この坂を登って調査しませんでしたので確かなことは言えませんが…調査の詰めが甘い自分にガックシです。

※注 軌道跡の予想はその3で修正しています。


本線跡も林道沿いに進んで調査しました。

本線は木橋の先も、そのまま林道沿いのやや上を進んでいます。写真の右側のやや盛り上がっている箇所が軌道跡です。


その軌道跡の一部では、このような小さな橋?桟道?の跡もありました。


林道から軌道跡に上がってみましたが、低木が生えており、とても歩ける状態ではありません。

夏は調査は難しいと思います。


しばらくすると軌道跡は埋もれていましたが、レールや枕木の一部が見えていました。


さらに進むと、次第に林道と軌道跡の高さの差が無くなってきました。

林道の右側のスジが軌道跡と思われます。


   

林道の傍らには、曲がったレールがありました(写真左上)。ちょっと曲がりすぎか?

そして川沿いにも、レールが見られました。撤去後に放置されたのか、それとも崩れて流されてきたのでしょうか。


トコ沢を過ぎた頃の写真です。

このあたりからは、放置されたレールは見られなくなりましたが、もう少し先まで行ってみました。


終点と思われる地点ですが、特に何も発見できませんでした。

チャリで疲れました。トホホ。



今回の調査では木橋を2つ発見でき、収穫がありましたが、支線の調査が不十分でちょっとガックリでした。

なお。帰りには縄文沼に寄りましたが、沼までの道が廃道となっているため、笹藪をこいでようやく着くことができました(今回の調査で一番苦労しました)。

また、初めてのチャリでの調査でしたが、通勤と違って林道は走りにくいし、上り坂で大変でした。しかし帰りは下り坂で気持ちよく戻ってこれました(スピード出過ぎてビビッた)。


木橋があった地点の軌道跡予想図に訂正があります。
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( 線名 地図 )